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秋田に於けるリハビリの現状
現在秋田県は高齢社会真っ只中にあり、要介護者数の増加が大きな問題の一つとなっています。平成28年国民生活基礎調査では、65歳以上の要介護者のうち、男性は23%が脳血管疾患、15.2%が認知症、女性では11.2%が脳血管疾患、20.5%が認知症を主原因としており、総数では15.1%が脳血管疾患、18.7%が認知症で、要介護者の3人に1人が中枢神経系の問題をかかえ要介護となっています。近年、脳血管疾患は死亡率こそ低下傾向にありますが、後遺障害により要介護となる患者さんは増加傾向にあり今後もこの傾向は続くことから、これらに対するリハビリテーションの需要はますます大きくなっていくことは想像に難くありません。また近年では認知症患者へのリハビリテーションの効果も期待されるようになり、セラピストへの需要がますます大きくなってくると考えられます。では現在の中枢神経系疾患を取り巻くリハビリテーション医療、とりわけ脳卒中の維持期・生活期リハビリは充足しているでしょうか。
十分とは言えないリハビリ制度
脳血管障害リハビリテーションにおいては、発症、手術若しくは急性増悪または最初に診断された日から180日を超えて実施されるリハビリは、心身の機能やADLの維持・向上を図りながら、生活機能の維持やQOL改善を主な目的とした維持期・生活期のリハビリと位置付けられています。しかし、現行の診療報酬制度で規定されている「月13単位」のリハビリで、心身の機能やADLを維持し、かつQOLの改善を図ることが本当にできるでしょうか。また、日常生活に影響のない程度の軽度の運動麻痺や巧緻運動障害を持つ患者さんの復職支援にむけた専門的トレーニングをわずか「月13単位」のリハビリで補うことができるでしょうか。
現在の治療のみでは不安の声が後を絶ちません
私は脳卒中急性期から回復期を経て外来へ通院されている患者さんを長年診てまいりましたが、回復期病棟(病院)を退院した状態をその後も維持し、かつ改善を図れている患者さんは極めて少ないと言わざるを得ません。画像上は再発や悪化所見がなくても、「最近またあたったような感じがする」とADLの低下を訴える患者さんが後を絶ちません。現行の医療保険制度ではこういった患者さんへの本来の維持期・生活期リハビリを行うことは難しく、介護サービスを増やしながらも徐々に寝たきりへ向かうのを見守ることしかできないのが現状です。しかし、維持期・生活期でも十分なリハビリが提供できる環境さえあれば、たとえ高齢者であっても心身の機能やADLの維持・向上を図ることは可能です。
これからのリハビリテーションは変わります
高齢化が進む日本においてはこの先も今までのように医療保険や介護保険などの公的資金をリハビリテーション医療に投入し続けることは困難であり、医療保険制度のみに頼った維持期・生活期のリハビリはもはや限界と言わざるを得ません。したがって近い将来、自費によるリハビリテーションが維持期・生活期リハビリの中心的存在となっていくのは自然な流れと言えます。自費リハビリの取り組みはまだ始まったばかりですが、だからこそやりがいもあります。
また近い将来、セラピスト自身が独立開業する時代になっていくと私は確信しています。セラピストの独立開業については過去に例がないわけではありませんが、医療保険制度を利用する場合は医師の処方が必要であるという制約があり、これまではセラピストの将来の選択肢として現実的ではありませんでした。しかしここまで述べたように、今後さらなる高齢社会を迎えるなかで慢性期医療のあり方について過去の常識は捨て、新たな枠組みを考えていく必要があります。その第一歩として、私は秋田県内初となる自費リハビリテーションだけでなく、今後必ず必要とされるセラピストの独立開業を医師として支援する事業も行っていこうと考えています。
あをによしリハビリテーションセンター(A.R.C.)代表 吉岡正太郎
セラピストの皆さん
リハビリテーションには大きな未来があります。
私達と一緒に新しいリハビリテーション医療を開拓してみませんか?