頭痛じゃないのに片頭痛? 〜めまいを主訴とする片頭痛(前庭性片頭痛)について〜

片頭痛発作にめまいを伴うことは以前からよく知られていましたが、近年国際頭痛学会によりその診断基準が作成され、めまいを主訴とする片頭痛を前庭性片頭痛と呼ぶようになりました。当院では現在約500人の片頭痛患者さんを治療していますが、そのうち約25%の方が頭痛に加えめまいも伴う前庭性片頭痛の要素のある患者さんです。しかしやっかいなことに、頭痛がなくめまい発作のみを主症状とする前庭性片頭痛が存在します。この場合、頭痛がないので初めから頭痛外来を受診することはなく、最終的な診断確定に数年かかるということも珍しくありません。

日常的にめまい感(船酔いのような、地震のときのようなふわふわする感覚、ふらつき、ぐるぐる回るような感覚など)を自覚し、しばしば寝込むようなめまい発作を自覚するものの原因不明でいわゆる抗めまい薬が効果ないというのが典型的な訴えで、片頭痛同様に20〜40代の女性に多いという特徴があります。当院通院中の片頭痛患者さんのうち5名の方がこれに該当し、片頭痛に対する予防的治療を行うことでめまいは軽減もしくは消失し日常生活を支障なく過ごされています。

日常的もしくは発作的なめまいでお困りの方は一度頭痛外来を受診してみてはいかがでしょうか。お気軽にご相談ください。